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第一次世界大戦~満州事変(大正8年~昭和11年/1919~1936)
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伊藤松雄 永井 巴

御国離れて何百里
雪や氷に閉ざされて
赤い夕陽の満州路
寒さは零下三十度

暗い冷たい塹壕に
飢えを凌ぐ軍用パン
残りの湯茶も分けて飲み
暖め合った戦友の仲

君と僕とは同い年
日露の役に父親が
共に戦死を遂げたのも
思えば不思議な因縁だ

父が血潮で染めた国土
屍を埋めた土地だもの
国威汚してなるものか
何の惜しもうこの命

死んだら骨を頼むぞと
言い交わしたる一瞬に
忽ち飛び来る戦弾は
我が戦友はたと倒したり

しっかりせよと励ませば
天皇陛下万歳と
凛々しく唱えニッコリと
笑って死んだ勇ましさ

戦い済んで夜が明けて
戦友の屍抱き起こし
耳に口あてこれ戦友よ
親父に逢えて嬉しかろ

悲しむまいと思えども
吸いたかろうと一本の
煙草供えりゃ泣けて来た
ホロリ落とす一雫
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